焦ると、風景が入ってこなくなるんですよね
踊り場からの再起動 #17
屋久島2日目。
午前中、ぼくは宿に閉じ込められていました。
台風です。
朝から雨と風が強くて、
外へ出るどころではありませんでした。
ちょうどライブ配信をしていたのですが、
8時、9時くらいがいちばん激しかったと思います。
正直、少しびっくりしました。
でも午後になると、
少しずつ落ち着いてきました。
2時くらいには雨もやんで、
空も少し明るくなってきました。
宿にずっといるより、
せっかくなら外へ出ようと思って、
ぼくはバイクで出かけました。
屋久島は、やっぱり屋久島でした
外へ出てすぐ、
屋久島だなと思いました。
道の脇には、
台風のあとらしく枝や葉がたくさん散らばっていました。
原生林の濃い緑。
高い波。
白く泡立つ海。
雲の重さ。
そこに少しだけ差す晴れ間。
いろんな要素が全部一緒にある感じでした。
田代海岸のあたりまで行ったときは、
海の色もすごく印象に残りました。
青というより、
青緑というか、
少し緑がかった色でした。
ぼくはあの色が昔からけっこう好きです。
見ているだけで、
少し助けられる感じがありました。
ガジュマルを見て、支え合うことを少し考えました
途中で立ち寄ったガジュマル公園も、
すごく良かったです。
大きな木と木が絡み合って、
ひとつの大きな形になっていました。
本当の仕組みは違うのかもしれません。
でも、ぼくには
お互いを支え合っているように見えました。
そのとき、
今のコミュニティのことや、
自分が支えられてきたことを少し考えました。
途中でひとつ、焦りのスイッチが入りました
この日の後半で、
気持ちがいちばん大きく動いたのは、
大川の滝へ行けないとわかったときでした。
台風のあとで水量も多いだろうし、
きっと迫力があるだろうと思っていました。
でも途中で、
交通規制がかかっていて進めませんでした。
あと少しだったんです。
そこまで来ていたので、
かなり焦りました。
せっかくここまで来たのに。
もっと早く気づけたのではないか。
しかも、
バイクなら行こうと思えば行けるのではないか、
という気持ちまで一瞬よぎりました。
もちろん、やりませんでした。
でも、
その考えが頭をよぎったのは事実です。
焦ると、風景が入ってこなくなるんですよね
たぶん今日いちばん大きかったのは、
行けなかったことそのものではありませんでした。
焦っている自分に気づいたことです。
昨日の記事では、
屋久島に来たら1日がすごく長くなったと書きました。
ゆったりした時間がうれしいとも書きました。
なのに今日は、
進めないとわかった瞬間、
急に時間に追われ始めました。
どうしたら間に合うだろうか。
もっとスピードを出せば何とかなるのではないか。
日が落ちる前に着くにはどうすればいいのか。
そんなことばかり考えていました。
そのとき、
ああ、ぼくはまた時間に追われているなと思いました。
しかも旅先でまで、です。
焦ると、
風景が入ってこなくなるんですよね。
未来への不安と、
過去への後悔のほうに意識が引っ張られて、
今この瞬間に目の前にあるものが薄くなっていく。
昨日はあんなに、
時間がゆっくり流れているのがうれしかったのに。
今日はその時間を、
自分から手放しかけていました。
それでも少しだけ、持ち直せました
途中で、
これでいいのだっけと思いました。
間に合うかどうかばかり気にして、
スピードを上げて、
目の前の風景を見ないまま走って、
それで本当に今日ほしかったものが手に入るのだろうか。
そんなふうに思いました。
大川の滝に行けなかったのは残念です。
でも、
午前中は宿から出られないかもしれなかった。
それなのに午後は外を走れている。
それだけでも十分だったはずです。
そう思ったら、
少しだけ力が抜けました。
もう少しスピードをゆるめよう。
間に合わなくてもいいから、
今の景色をちゃんと見よう。
そう思い直して走っていると、
さっきまでは入ってこなかったものが、
また少しずつ見えてきました。
山肌が崩れているところ。
雨のあとの空気。
冷えてきた身体。
戻る道の静けさ。
そして、
さっきまでは気づかなかった道端の紫陽花。
もちろん、
ずっときれいに切り替えられたわけではありません。
時間を見るとまた焦るし、
やっぱり行きたかったなとも思いました。
でも、
揺れながらでも戻ろうとしたことには、
少し意味があった気がします。
今日は、何を見るかより、どう過ごすかを試された日でした
振り返ると今日は、
観光の成功とか失敗というより、
同じ時間をどういう心持ちで過ごすのかを試された日だった気がします。
思い通りに進まなくなったときに、
焦って今を壊すのか、
それとも少し立ち止まるのか。
そういうことを、
屋久島に試されていた感じがします。
そしてそれは、
今のぼくの再起動にも少しつながっています。
できていないことに目を向けるのは、
ぼくの癖です。
仕事のことでも、
回復のことでも、
つい足りないものばかり見てしまいます。
でも今日は、
行けなかった場所より、
行けた場所がありました。
失敗したことより、
踏みとどまれたこともありました。
思い通りではなかったけれど、
決して悪い日ではありませんでした。
むしろ、
かなり良い日だったのだと思います。
行けなかった場所は残りました。でも、持ち帰れたものもありました
大川の滝には行けませんでした。
それはやっぱり少し残っています。
でも今日は、
それ以上に、
「焦ると風景を失う」
ということを持ち帰れた気がしています。
屋久島で見た景色より、
屋久島で試された自分の時間の使い方のほうが、
今日は強く残っています。
もしみなさんにも、
最近
「焦って大事なものを見落としていたな」
と感じたことがあれば、
よければコメントで教えてください。
屋久島の話は、
もう少し続きます。







屋久島の写真と゛れもすてきて゛すね!!